紅い記憶
 桜の瞳からぽぽろと涙が流れ落ちる。


 そんな桜を見ていられなくて稔は思わず抱きしめた。


「み…稔?」


「お前の泣いてる顔、見たくねー。泣きやんだら、顔あげろ。」


 そう言って、稔は桜が泣きやむまでずっと抱きしめていた。


 そして話し始めた。


「この場所って、実は校門の真正面なんだぜ。」


「え?」


 
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