紅い記憶
図星のようだ。


「どうして・・・そんなことまで」


「この前からずっと矢野さんと響子さんにはつきまとわれてて・・・。矢野さんの左手の薬指には指輪がないのに、同じように日焼けの跡が残っているから。それに響子さん達の話をした時の吉永先生の反応が不審で。」


「たったそれだけのことで?あなた、探偵の才能あるんじゃないの?でも二つ、おしいところがあるわ。ついでに教えてあげる。響子さんが私の名前を知っていたのは、今矢野さんとお付き合いしているからよ。それから、あの二人は私立探偵で、桜ちゃんのお母さんに頼まれて桜ちゃんを探していたっていうことね。私もこの前たまたま矢野さんに会って、依頼主のことまでは直接聞いたわけじゃないけど、話を聞いていたらなんとなくね。お役に立てれば光栄だわ、相澤探偵?」



吉永と笑みを交わすと、稔はようやく帰路についた。



正門を出る所で、桜が立っていた。
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