【短編】弁当男子と桜の季節
「す…すごいね!!」

「え?そうかな。」


弁当箱(といっても大きいのが無かったから今日はタッパー)を開けたと同時に笠原が感嘆の声をあげた。

「これ、全部一人で!?」

「まぁね。でも、簡単だよ。

このからあげは、昨日醤油と生姜に漬けておいて、今朝片栗粉まぶしてグリルで焼いただけだし…。

ナポリタンは作って冷凍してあった作り置き。

もやしも茹でてドレッシングかけただけ。もやしってゆかりふりかけをかけたらピンクになるんだ。
花見だからピッタリだと思って。」


僕の話すこと話すことに「へ〜」とか「ほ〜」とかいうのが面白い。

「このおにぎりは、冷凍むきえびを茹でて、てんつゆと天かすを混ぜた天むすもどき。おかんがよく作ってくれたんだ。

おすすめはウインナーのキャベツ巻き。キャベツで巻いて焼いただけなんだけど、彩りがいいからよく作るんだ。

あと、玉子焼きにはマヨネーズを入れるとフライパンにくっつかないし、味付けもできるんだぜ!!」


「……へぇ…。」



…やばい…。

料理ができるようになったのがうれしくて、ついひとりで喋りすぎた…。

普通、ヒクよな…こんな男。
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