quirk of fate
空を仰げば雲が緩やかに流れている。
何の感慨も無く見つめていると、不安定なメロディが聞こえてきた。
なんだろう……クラリネット?
それにパーカッション。
「秋山……」
「んー?」
「なんか聞こえるよな?」
「ああ、吹奏楽部だろ」
今いる屋上から見える正面にはこことは別の校舎がある。
その最上階に吹奏楽部があるんだよ、と秋山は言った。
「確か南館って言う校舎……って、おい!何処行くんだー!?」
気付けば、僕は走り出していた。
不安定なメロディ。
様々な楽器の音。
僕は行かなきゃ行けない。
まるで音に導かれるように、僕の身体は音楽室まで向かっていた。