quirk of fate
少女はだんだんと近づいてくる。
僕は訳も無く胸が疼いていた。
なぜだろう?
異様に心臓が高鳴る。
身体全てが心臓になった気分だった。
あっ……すれ違う。
彼女の、
肩までの髪がふわりと揺れる。
優しい香りがした。
シャンプーやリンスーの香りではなく、
少女自身の香りのような気がする。
少女もこちらを意識しているようで、
何処と無くぎこちがなかったけど、
決して目を合わせようとしなかった。
足音が遠くなって行く。
僕はそのまま阿呆のように呆けてしまった。
どの位かは分からなかったけど、
誰かが僕の肩を叩くまではそのままだった。