みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
この春、同じ小学校を卒業するウチと一樹くん、それに一葉は、某大学の附属中学の入学試験を受けてたんやけど、三人の中で彼だけが合格しはった。
なかよし三人組の中で、ウチと一葉は市立中学に通うのに、これから毎日一人だけで附属中学に通わなならんことを思うと、彼が淋しい気持ちはなったのは分かる。
…ってかウチも同じ気持ちやさかい。
いつも三人いっしょやったのに、それが一人欠けるんやから、ホンマ、心にポッカリと穴が開くようなもんや。
もしも彼の本当の気持ちが、あの恋文に書いてあるとおりやったとしたら、たとえ中学は別々になっても、ウチかて喜んで彼と付き合うてたと思う。
初恋はかなわへんのが常(つね)で、初恋の相手と恋人同士になれるなんてこと、世の中にはありそうであらへんことやけど、もしかしたら、ウチら、その常識をくつがえすことができていたかもしれへんとさえ思う。
ま、今となっては4月から別々の中学に通うのが、お互いにとっては救いなのかも……。
下駄箱に恋文なんて、誰かて飛び上がって喜びそうなシチュエーションのはずやのに、男子に恋文をもろうて、ソレを無視するなんて、バチ当たりもはなはだしいとゆーか、ある意味、ウチは少女失格やと思う――――