みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
「“ひょっとしたら”ちゃうてゼッタイ助かるし、助かって、ちゃんと謝ってもらわんと、ウチはこれから一生オツムん中にモヤモヤしたもんを抱えたまま生きてかなアカンようになってまうんやからね」
「そうやな……勝手にひとりで死なれたんじゃ、よっちゃんだって困るとやろ?」
「そうそう」
普段は自分ひとりで生きてるつもりで、神さまやとか、そないな存在のことなんて考えたこともあらへんクセして、そんなウチが、その瞬間だけは“どうか一葉を助けてください”って心の底から神さまに祈っとった。
われながら調子がええとゆーか、ズルイ考えやとは思うけど、ほんでも今は藁をもすがる思いで、どこにいてはるかも分からへん神さまに祈るしかあらへんやった―――――
× × ×
刻々と時間を刻む針は動き続けて、時間は瞬く間に過ぎ去っていくんやけど、ICUから医療スタッフたちが出てくる気配はまったくあらへんやった。
まだ集中治療が続いてるってことや。
「遅いなぁ……」