みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
せやからウチはあんとき、ウチがなんであーいう行動に出たのか話して聞かせた。
つまりウチが約束の場所に行かへんやったんは、その数日前、保健室で偶然聞いた各務兄妹の“告白ごっこ”の話が原因やった、ってことを話したんや。
「そーいや、あの頃、“告白ごっこ”って流行っちょったな……オレもやったし、古賀とか、他にもやっとるヤツらおったよな……そっか……オレの告白もタダの“ごっこ”やと思われたってこつか……なんであぎゃんこつになったんか、ようやくオレも納得できた……」
「ごめんなさい……ウチ、ノコノコ約束の場所に行って、みんなの笑い者にされるんかと思うと怖うて行けへんやったんや……」
「そっか……オレ、自分でも知らんあいだに“オオカミ少年”になっとったんやな」
「オオカミ……少年……?」
「いつもいつも“オオカミが来た、オオカミが来た”ってみんなにウソついちょったけん、本当にオオカミが来たときには誰にも信じてもらえんやったって話あるとやろ?」
「あぁ、ほんでオオカミ少年……」
「たぶんオレ、告白ごっこなんてバカなこつやりよったけん、恋愛の神さまからバチが当てれらて、本当に好きな相手との恋が実らなかったんやと思う」
“そないなことあらへん”と否定せんウチ。