みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
そうかて、ぶっちゃけ自業自得や思うし、いくら自分のルックスに自信があるからいうて、誰かを好きになる気持ちをゲームにして遊ぶなんてええ趣味とはいえんさかい。

「でも、まぁ……今の話聞いてオレ安心したよ」

なぜか表情を明るくする彼。

「え?」


「だってオレ、よっちゃんにフラれたわけやなかったんやろ?」


「う、うん……たしかにそーやね。ウチとええ感じになっとる思ったさかい、フツーに恋文書いて映画に誘っただけやのに、急にシカトこかれたんやから、各務くんにしてみれば、なんのこっちゃ分からんかったやろうな……。あぁ、アカン。ウチはサイテーの女やぁ……」

思いっきり自己嫌悪。

「よっちゃんはサイテーじゃなかよ。サイテーなんはヒトの恋心をオモチャにしてもてあそんだオレのほうったい」

「もし、そないなふうに思ってくれはるんなら、ウチも少しは気がラクやけど……」


“もしかして……”とウチは思った。

もしかして、ウチのことを申し訳なく思った一葉が、そのお詫びとして、ウチを各務くんに引き合わせたんちゃうやろか?

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