みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
第1章「妄想草子」
毎朝、わが家ではちーとした戦争が起きる。
それはまさに“時間との戦い”ってヤツや。
朝の1分は、夜の5分くらいに貴重なモン。
あと5分早よう起きるだけかてちゃうんやろうけど、それができれば苦労はせえへん。
わが太宰家では母が“母親業”を放棄して家を出て行ってからとゆーもん、気がつけばウチが食事係になっとった。
今はまだ食事の準備のほかは、父のお弁当を作るだけやさかいなんとかなるけど、これでもしウチが高校生になったら、お弁当を2コも作らへんといけなくなるわけで、それはさすがにテンパりそうやと今から恐怖してる。
本来なら食事係は女子大生の姉・有紀(アキ)がやるべきことやと、家族の誰もが思ってるはずやけど、気の強い姉と一戦交えることへの憂鬱さを想像するに、ウチを含めた家族の誰も、そのことをクチにせえへんやった。
「よし、と。これで完成や」
父のお弁当を完成させて、エプロンをはずしもってDK(ダイニングキッチン)の壁掛け時計を見ると7時25分やった。
“30分までにトイレを済ませとこう”思うて、DKをあとにするウチ。
……と、そのとき、ピンポンとドアチャイムが鳴って、続いてドアの向こうから…、
それはまさに“時間との戦い”ってヤツや。
朝の1分は、夜の5分くらいに貴重なモン。
あと5分早よう起きるだけかてちゃうんやろうけど、それができれば苦労はせえへん。
わが太宰家では母が“母親業”を放棄して家を出て行ってからとゆーもん、気がつけばウチが食事係になっとった。
今はまだ食事の準備のほかは、父のお弁当を作るだけやさかいなんとかなるけど、これでもしウチが高校生になったら、お弁当を2コも作らへんといけなくなるわけで、それはさすがにテンパりそうやと今から恐怖してる。
本来なら食事係は女子大生の姉・有紀(アキ)がやるべきことやと、家族の誰もが思ってるはずやけど、気の強い姉と一戦交えることへの憂鬱さを想像するに、ウチを含めた家族の誰も、そのことをクチにせえへんやった。
「よし、と。これで完成や」
父のお弁当を完成させて、エプロンをはずしもってDK(ダイニングキッチン)の壁掛け時計を見ると7時25分やった。
“30分までにトイレを済ませとこう”思うて、DKをあとにするウチ。
……と、そのとき、ピンポンとドアチャイムが鳴って、続いてドアの向こうから…、