みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
どうやら今のウチにとって唯一の居場所であるはずのプールからも、そろそろお暇(いとま)せぇへんとアカンようや。
「えっ……!?」
プールサイドへと上がりながら、ピッとお尻の部分の水着を下に引っ張ったとき、不意に誰かの視線を感じたウチは、ちょうどプール全体を見渡せるよう一段上の階に設けられた見学者席に目をやった。
するとガラスの向こうの見学者席から、ウチを見てはる男の子と目が合ってもうた。
「各務……くん……」
水泳用ゴーグルを外して改めて見ると、やっぱりそこにいたのは各務くんやった。
× × ×
急いで水着から普段着に着替えたウチは、バスタオルで濡れた髪の毛の雫を吹き取りながら、見学者席へと向かった。
ウチの姿を見つけはると、細っそいフレームのメガネの下の目を細める各務くん。
ほんでも、もともと女の子みたいに白い肌が、お葬式で疲れ果てたんか、ますます血の気がなく、真っ青な感じにさえ見えとる。面と向かっては言えへんけど、なんや幽霊みたい。
「えっ……!?」
プールサイドへと上がりながら、ピッとお尻の部分の水着を下に引っ張ったとき、不意に誰かの視線を感じたウチは、ちょうどプール全体を見渡せるよう一段上の階に設けられた見学者席に目をやった。
するとガラスの向こうの見学者席から、ウチを見てはる男の子と目が合ってもうた。
「各務……くん……」
水泳用ゴーグルを外して改めて見ると、やっぱりそこにいたのは各務くんやった。
× × ×
急いで水着から普段着に着替えたウチは、バスタオルで濡れた髪の毛の雫を吹き取りながら、見学者席へと向かった。
ウチの姿を見つけはると、細っそいフレームのメガネの下の目を細める各務くん。
ほんでも、もともと女の子みたいに白い肌が、お葬式で疲れ果てたんか、ますます血の気がなく、真っ青な感じにさえ見えとる。面と向かっては言えへんけど、なんや幽霊みたい。