みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~

「もォ、デカイ声出さんといてよ。恥ずかし」

顔から火が出そうな思いで、慌てて玄関に駆けつけるウチ。

「お父はん、お弁当できてはるよ」

「おぉ、サンキュ」

そう言って笑うとDKへ向かう父。


“それにしても…”とウチは思った。

一葉のセーラー服姿を見るようになって今日で2日目やけど、ホンマ、セーラー服っていうのにはいろんな意味で魔力があると思う。

アレを着ると、どない子かて、ちゃんと女の子に見えるんやで!?

小学生の頃は毎度ボロボロのGパンを履いてた一葉が、いっちょまえの女生徒に見えるさかい摩訶不思議ちゅうやっちゃ。


「一葉、カンニンやさかい、あと3分…いや1分だけ待ってやっ。あと1分たってバカ姉貴が出てきぃへんやったら、ウチ、わんぱく公園でトイレするさかいっ」

待たせている一葉に申し訳のうて、手を合わせて謝ると、前を押さえながら早足でトイレの前に戻っていくウチ。

ちなみに“わんぱく公園”っていうのは学校に行く途中にある小さな公園のコト。



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