みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
「今まではオレと一葉とよっちゃんで三人やったとぉ。けんど一葉がおらんなって、今はもうオレとよっちゃんの二人っきりやけん」
「二人っきり……」
「二人しかおらん人間がお互いバラバラでおったら、それはあまりにも淋しすぎる」
「そうやね……バラバラなんは淋しいな」
「よく分からんけんど……」
そない前置きしてから各務くんが言うた、
「人間って、一人一人じゃ誰もが弱い生き物やと思うったい。だけん誰もが、自分の足らん部分を求めて、別の誰かを求めるとや」
「うん……ウチもそない思う……せやから人間は無意識のうちに友達やら恋人なんかを求めてまうんやと思うわぁ」
「そしてオレには、よっちゃんが必要や」
「各務くん……」
「頼む。これまでは別々に離れちょったけど、これからは別々やった時間の空白部分を補って有り余るくらいに……ずっとずっと……いつもいつも……オレといっしょにいてくれんとぉ?」
彼の頬が斜陽に染められてか、ほんのり赤く色付いとった。
「うん、ええよ……ってか、ウチのほうからお願いしたいくらいや」