みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
こーいうんを“以心伝心”いうんやろうか? ウチもこれからは各務くんといっしょにいたいって思ってたさかい。
「よかった。じゃあ、あらためてもう一度……いや、今度は手紙やなくて、勇気を出して直接言うけん……すごか大事なことだけん、ちゃんとクチに出して言うったい……」
ウチの頬が熱うなった。それは斜陽にごっつぅ強く照らされとるせいだけちゃう思う。
「オレはよっちゃんが好きや」
「ウチも各務くんが好き……ずっと前から好きやった」
次の瞬間、どちらからというわけでもなく……っていうか、まったく同じタイミングでウチらはお互いのカラダを抱き寄せ合った。
斜陽に照らされて長く伸びた二つの影が、一つに重なるんが、彼の胸の中で目を閉じる直前に一瞬だけ見えた――――
小学校卒業のときの恋文を無視して以来、こないな日が来るとは夢にも思わんやった。
ほんでも、これは一葉が恋のキューピットになって、ウチと各務くんを引き寄せてくれたせいやと思う……あくまでウチの妄想やけど。