みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~

いや、そうに決まっとる。

ウチはそう信じたい――――――



      ×      ×      ×



それから数ヵ月後、彼の熱心な指導のおかげでウチは見事、各務くんといっしょの高校に合格し、それからさらに数年後、ウチの名字が各務に変わり、今は天国にいてはる一葉もウチの義理の妹になったことになる。


もともと一人の人間として生まれるはずやったのに、双子として二人の人間に分かれてしまった各務くんと一葉のような、そーいう関係には死んでもゼッタイなれへんのは分かっとる。

せやけど、たとえ生まれ育ちがちがっても、二人が別々にこの世に生まれてきたことが信じらへんようになるくらい……それくらい限りなく各務くんに近い存在になってやるんや、ってウチは心に決めとった。

日々、心に固くそう誓いながら、各務くんと一つ屋根の下、今は毎日を生きとる。



2年前、父はドラッグストアーの新店舗立ち上げのために宮崎に単身転勤になった。

姉は大学を卒業して社会人になった。

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