みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
「お姉ちゃん、まだァーっ!?」

左手で股間を押さえてモジモジしながら、右手でチカラまかせにトイレのドアを叩くウチ。

ドン、ドン!

「ちーと待ってやっ。いま5日ぶりでようやっと出そうなんやさかいっ」

ドアの向こう……トイレの中から聞こえてくる大学生の姉の怒鳴り声。


「お父はん、ひまわりの種どこぉ~?」

一方、DKでは4コ下で小学4年生の妹・文(アヤ)が叫ぶ。

「あ~もぅ、ハムスターのエサなんて後あとっ。さっさと自分の朝ごはんを喰いなはれっ」

父が軽く切れたように、男のクセにヒステリックな声を上げた。


とあるアパートの一室は戦争まっさかり。

こんなん、日本全国どこの家庭でも見られる朝の風景なのかもしれへんけど……。



「太宰三姉妹は朝からにぎやかやなぁ~♪」



玄関から半分微笑ましく、だけど半分呆れたという感じ一葉の声が聞こえてくる。

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