みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~

いうまでもなく将来の夢はマンガ家や。


友達を作らへんつもりやったウチが、一葉と友達になったんは“マンガ好き”という共通の趣味があったことが大きい思うわぁ。

学期の途中で転校すると、黒板に自分の名前をデカデカと書かれ、教室の前でみんなに紹介されたりするもんやけど、福岡に転校したのは春休み期間中やったさかい、4月からフツーに新6年生としての学校生活をはじめてしもうたヨソ者のウチは、ほとんど誰からもかまわれず透明人間みたいな存在やった。

そんなある日の休み時間、大学ノートの一番最後のページに、あるマンガのキャラクターを描いていたウチに、突然、ほとんど初対面なのに、博多弁まる出しで、くったくない感じで話かけてきたのが当時・小6の各務一葉やった。


「あっ、それ、『檸檬白書』の“ジャスミン”やろ? バリ上手かぁ♪」


彼女の言う「バリ」とは「超」とか「めっちゃ」っていう意味で、「ちかっぱ」と言ったりすることもあるみたいや。


まぁ、それはさておき…、

わが太宰家にはルールがあって、父に引っ越しの荷物になるから言われて、マンガを自宅保管することを禁じられ、読み終わるとすぐに“ブックアウト”に売らなアカンようになってんのや。
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