みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~

きっとクラスの他のみんなは、なんで彼の左足が義足なんかモチロン知ってはるんやと思うけど、ウチは小6になってこの学校に転校してきたワケやし、各務くんの幼なじみでもないウチにしてみれば、見て見ぬフリをしようとしても、ついつい彼の左足に目がいってまう。

そうかて禁忌(タブー)のようにウチはなんで彼が義足なのかを訊かへんやったし、そもそも、そないなこと訊けるはずあらへん。

クラスのみんなは、彼の身体的な事情に慣れていてはるのか、誰ひとりとして彼をトクベツ扱いはしてへんみたいやった。

休み時間にはみんなとドッジボールなんかもやってはって、ヘタな運動オンチの子なんかより、よっぽど軽快なフットワークで、次々相手にボールをヒットさせてはった。

障害者保護を声高にうたいながら、その実、“逆差別”になってはることが、世の中にはおうおうにしてある。

各務くんとクラスのみんなとの関係を目の当たりにしてると、ホンマに障害者といっしょに暮らしていく社会を目指すんなら、トクベツ扱いせんことやとウチは思う。



…って、アカン、話が横道にそれてもうた。

ココで話を元に戻すさかいな(汗)



「あっ、ほんなこつ。バリ上手かぁ」
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