みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
風紀検査の先生にとがめられるような理由が、まるで思い当たらんウチは、恐る恐るそう訊いた。

「そうだ。お前、新1年生だろ? 入学したてで髪を染めて登校するとはいい度胸してるな? んあ?」

その言い方はまるでヤンキーかチンピラみたいで、とてもやないけど先生という聖職者のソレとは到底程遠いもんやった。


“ヒトのこと、勝手に不良少女と決め付けてはるけど、アンタのほうがよっぽどヤンキーみたいやん!”

…と内心思いながらも、ウチは声を震わせながら答えた、

「う、ウチ、髪なんて染めてません…」

「染めてるじゃないか? ホラ、ココ」

いきなりウチの前髪をグイッと上に引っ張る帯刀先生。

「痛っ…!」

「髪の毛が赤くなってるじゃないか」


“ああ、そのこと?”とウチは思った。

確かに先生の指摘どおり、ウチの前髪の生え際は赤っぽい色になってはる。

ほんでも、そのことなら説明すればちゃんと誤解は解けるはず。


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