みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
彼女がボーイッシュな女の子やのうて、ボーイそのもんならウチは間違いなく落ちる。


「そ、そうか、分かった…」

大勢の観衆の前で恥じをかかされたことに、さすがの帯刀先生もひるんだようで、彼はウチの頬から手を外した。

「…っ」

その手が外れた瞬間、入れ替わるようにウチの手が、痛みでジンジンする頬を押さえた。

「じゃあ、あしたその会員証ってやつを必ず、俺に見せるんだぞ。えっとお前の名前は?」

「この子ん名前は1年3組の太宰美佳。ミカじゃなくて、ヨシカったい。ちなみにボクは同じクラスの各務一葉」

頬を押さえて、まだ泣いてるウチの代わりに一葉が言うてくらはった。

「分かった、1年3組のダザイ・ヨシカとカガミ・カズハだな。お前らもう行っていいぞ」

ちょっと立ち尽くすような感じになってるウチの肩を、背中からやさしく抱いて、並んで歩いてくれる一葉。

「お前らもいつまで見てるんだっ。急がないともうすぐチャイム鳴るぞっ」

やじ馬たちを追い払うように軽く竹刀を振り回す帯刀先生。


「一葉……おおきに……」
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