みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~


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1度家に帰って見慣れたボロボロのGパン姿になった一葉といっしょに、ドラッグストアー“サンフラワー”に行ったウチは、到着早々、そこで見てはアカンもんを見てもうた。

間が悪いとゆーか、よりにもよって、たたんだダンボール箱を重ねて置いてあるお店の裏口で、店長である父がパートらしきオバはんをグゥの音も出ぇへんくらいに叱り飛ばしている場面に遭遇してもうたんや。


ウチと一葉は見て見ぬフリをして店内に入ったけど、お菓子を物色しながら一葉がひとり言みたいな感じで言うた、

「あのくさ……ボクらはくさ、親が稼いだお金で何も考えんで生活しちょるけんど、実際、親がどげんこつやっち、お金を稼いじょるか全然知らんかったりするけんな…」

「………」

たしかに彼女のいうとおりや。

お金を稼ぐための手段として、世の中には星の数ほどの職業がある。

せやけど中には子供に堂々と胸を張れへん職業かてあると思うわぁ。

エッチ系の仕事とか、他にもブランド品のニセモノを作る仕事をして、子供を育ててはるヒトもいる思うし。
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