みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~

ヒトに恨まれるような仕事……もっと言うたら拳銃とか戦車とかミサイルとか、ヒトを殺すための武器&兵器を作る仕事をして、子供を育ててはるヒトかていると思う。


そない考えると、店長として従業員を厳しく叱るくらいのことは全然フツーのことやとは思うけど、父に叱られているときのオバはんの今にも泣き出しそうな顔が目に焼きついて離れへん。

ウチがこうやってフツーに生活できてんのは、ある意味、父があーいうオバはんたちを泣かせてきた結果なのかもしれへんと思う。


「ボクのオヤジも似たようやもんったい」

彼女の父親は“各務歯科医院”の院長先生や。

「医者なんていうと世間じゃ、さぞ立派な人物だと思われとぉみたいやけど、それはあくまで医師と患者という立場で接したときだけのこつ。プライベートのオヤジを見ちょると、医者なんてやってる人間にロクなのはおらんと思うとよ…」

そないなふうに彼女が言うてたんがホンマのことやと思い知らされたんは、遠足の翌日のことやった――――



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その日の放課後、ウチらは歯医者におった。
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