みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~

とどめに小学4年の妹は“文”と書いて“フミ”ではなく“アヤ”と読ませる。

なんでも父がこだわって付けた名前らしいんねんけど、そないなこだわり子供にしてみれば、ええ迷惑や。


前に、面と向かって父にそのことを言うたら、火のような勢いで怒られた。

もともと短気な性格で、昨日も遠足のおやつで食べてた“ミルク味のソフトキャンディー”をうっかり噛んでもうて、奥歯の銀の詰め物を取ってしもうたことを告げると…、

「特売品のミ○キー買うて、歯医者に治療に行くんじゃ、ちっともトクにならんわっ!」

…って案の定、火のように怒りおった。


ヤレヤレ。そんなんやから、お母はんかて愛想つかして出て行ってまうんや。

“三人も子供産んどきながら今さら?”って感じやけど、仕事仕事で毎晩帰宅の遅い父とのすれ違いの生活にガマンができひんようになったんやそうな。

せやけど本当にすれ違ってたのは“生活”ではなく、お互いの“性格”やと思う。


正式に離婚して、現在、女ひとりで暮らしてはる母やけど、生活が安定したら、小学生の妹の文だけは引き取って育てはるみたいなハナシもあったりする。

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