みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
「安売りの飴買うても、歯医者に来たんじゃ、なんのトクにもならん。むしろ大損じゃわ」
昨夜、ウチが父に言われたのと、ほとんど同じセリフやった。
実は一葉もまた、遠足のおやつとして特売品でGetしたミ○キーを歯で噛んでもうて、奥歯の銀の詰め物を取ってしまってたんや。
ウチはそれまで“医者”という人種に対して、それなりの尊敬の念を抱いてたもんやけど、ウチの父と同じセリフを言うのを聞いた瞬間、医者も所詮その程度のニンゲンなんやなと少なからず落胆した。
あとで聞いたハナシやけど、彼女の父親は病院経営の大金持ちのクセして、“超”が付くくらいのドケチなんやそうな。
例えば病院で使う器具とかマスクとか消毒液とか、そーいうのを出入りの業者にまけさせたり、1円でも安いのがないかカタログを見比べたりしてはるいうことや。
まぁ、経営者なら1円2円のことまで気ぃ使こうのは当たり前といえば、当たり前なのかもしれへんけど。
でも、人件費を押さえるため、長年務めてきた歯科衛生士さんたちを正社員から全員パートに格下げしたうえに、リストラまでして、従業員ひとりあたりの業務内容を増やしたり、突然ボーナスカットしたときには、歯科衛生士さんたちとひと波乱あった、ってハナシも一葉から聞いとる。