みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
それやのに、ちーとでも油断すると、一葉の顔を見るたびに胸がドキンとなって、各務くんのことを思い出してまうウチがおった。

双子やさかい同じ顔なのは当然やけど、こうして一葉といっしょにおると、まだ各務くんといっしょにおるときみたく思えてまう。

たぶん、ウチの脳ミソの中の識別センサーが、一葉と各務くんを同一の規格のモノやと錯覚して認識してしまうんやと思うわぁ。


双子の各務兄妹に出会ったばかりの頃は、ボーイッシュな一葉と、美人の各務くんを見ては、いかにも腐女子的なBL妄想をしていたはずのウチ。

それやのに、そんなウチが、各務くんに対して素(す)のリアクションをとってもうたことがある。


それは小学6年のときの図工の時間、今のシチュエーション同様、校外に写生に行ったときのコト。

ちなみにそんときは小学校の近くの景色のいい丘の上やったんやけど。

写生がはじまってしばらくして、絵の下書きのスケッチがなかなか上手く描けんやったウチは、イライラしながら乱暴な感じで消しゴムで鉛筆書きの線を消しとったんやけど、勢い余って手が滑ってソレを地面の上に落っことしてしもうたんや。

当然、ウチは落とした消しゴムを拾おうとするんやけど、そのときハプニングが起きた。

< 41 / 142 >

この作品をシェア

pagetop