みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
かなり自意識過剰な発言や思うけど……。
ウチの中で“一葉はコノ街で出来た最初の友達”いう位置づけにあるんやけど、“じゃあ、各務くんはどうなん?”と訊かれれば「友達」と即答でけへんウチがおる。
女の子同士で友達いうのならともかく、異性間で友達いうのんはなんかビミョ~や思う。
ウチがそないなふうに思ってまうのは、ウチはウチで彼に対してまんざらでもない想いを抱いていたからなんやと、くやしいけどそこは認めなアカンのやろうな――――
アカン、アカン!
体はちゃんとセーラー服を着てはるのに、一葉の顔だけ見てると、ついつい各務くんのことを思い出してまうわっ!!
「太宰さん、調子はどう?」
気が付くと辺見先生が後ろに立っとって、上からウチの絵を覗き見とった。
鳥居越しに見える神社の全景がバランスよく丁寧に描かれたウチの絵を見ると、先生は満足そうに微笑んで「なるほどね」と言うた。
「先生、ボクには訊かんとですか?」
脇から一葉がしゃしゃり出る。