みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~

6年2組の教室に入ると、女の子みたいに綺麗な顔をした男の子=各務一樹(カガミ・カズキ)くんが教室の後ろのほうで数名の男子と談笑していた。

いつもなら彼とウチと一葉の三人はいっしょに学校に行くんやけど、今日は用があるとか言うてひとりだけ先に行ってて……ほんでも、その用っていうのが、まさかウチの下駄箱に恋文を入れることやったなんて……。


「お、おはよう」

ウチに気づいて、やってくる彼。

「おはよぉ…」

それだけ言うと、うつむいて教室の中ほどにある自分の席につくウチ。

「あ、あ、あのくさ……て、手紙……読んでくれたとぉ……?」

緊張してガチガチの彼。

黙ってうなずくウチ。

「え、え、映画のことやけど……」



キーン、コーン、カーン、コーン…♪



何かを言いかけている彼になんておかまいなしで、そこにチャイムが無粋(ぶすい)に鳴り響いた。
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