みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
ほんで当日、姉が連れてきたんは100人が100人ともひと目で彼を好青年やと認めるような、それこそ絵に描いたようなパーフェクト好青年のイケメンやった。

年は姉と同じ21歳とのこと。


せやけどわが家の玄関先で、ウチらとはじめて顔を合わせた彼の第一声を聞いて、ウチら家族全員が露骨にビビりまくってもうた。



「ハジメマシテ。ワタシ、劉揚明イイマス。香港カラ、キマシタ」



姉の紹介によれば、彼の名前は劉揚明(ラウ・ヨンミン)といい、香港からの留学生として姉と同じ大学に通ってはるんやそうや。

どうりで彼の好青年っぷりは、韓流スターに通じるもんがあると思うた。

彼は大学のキャンパス内でも女の子たちにモテモテで、「ラウ様」なんて呼ばれてファンクラブまであるほどの存在やと姉は自慢げに鼻高々で言いおった。


二人の出逢いは、ルックスも勉強の成績も超一流の姉にしては、似つかわしくないくらいのコッテコテの三流の出逢いやったらしい。

突然降り出したドシャ降りの雨の中、傘を持たへん二人が、とあるお店の軒先で雨宿りをしたんが運命の出逢い。

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