みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
姉にとってこの恋は、禁じられた“パンドラの匣(ハコ)”を開けたような恋なんとちゃうやろか?

今でずっとプライドが高こうて、他人に対して心を開いて、素(す)の部分でヒトと接するようなことがあらへんやった姉にとって、まさにパンドラの恋やったはず。

それだけに姉はメラメラ燃え上がる炎のような情熱的な想いを、劉揚明さんに対してひたむきに、盲目的に、傾けてはるんやろうと、ウチなりに妄想したりもする。


頭のええ姉なら、結婚して香港に行ってもすぐに向こうの言葉……たぶん広東(カントン)語?かてスグにマスターしてしまう思うし、姉のような芯のシッカリした人間やったら、世界中のどこへ行ったかて生きていける思うわぁ。

まぁ、姉が好きな男のヒトと結婚して、ほんでウチの前からおらんようになってくれはったら、姉にとっては万歳やし、ウチとしては万々歳(バンバンザイ)や♪

そない思うて考えると、今夜の夕食パーティは、実に意義深いもんやったんとちゃうかな、って思う。


こうなったらお姉ちゃん、1日も早よう劉揚明さんと結婚してや♪

それがお姉ちゃんにとっても、ウチにとっても、お互い幸せなことやさかいな~っ♪♪



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