みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
ほんでもペット禁止のアパートで隠れて飼えるんはハムスターまでがギリギリセーフいうことで、妹はいま現実に実在するペットのミルクのほかに、ゲームという仮想空間の中にもペットとして猫を飼っとるいうことや。

…ってか、もともとは、以前、ハムスターの出てくるマンガにハマッていたウチがミルクを飼いはじめたのに、それを妹まで気に入ってもうて、気がつくと今では妹と共同で飼う形になってもうてる。


「“忙しい”ってゲームしてはるだけやん。ウチ、後片付けしぃへんとアカンし、文、頼むさかい行ってきてや」

「文ちゃん、手が離せへんし、美佳ねーちゃんが自分で届けに行ったあとで、片付けの続きをやったらええやん」

こーいう生意気なクチのきき方には、わが妹ながら身震いするほどハラが立ってまう。



「美佳、お前が行ってこい」



突然、ハタから父がクチをはさんだ。

「文が追いかけても、アイツの足じゃあ、劉さんには追いつけんさかい、お前が行ってきたほうがええで」


“もォ、面倒なことはなんでもウチがやることになるんやさかいなァ……”

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