みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~


体の内側から沸き上ってくる激しい怒りにカラダを火照らせながら、ウチは彼の頬のひとつでもひっぱたいてやりとうて、ツカツカとアイツに向かって怒りの激進をはじめた。



せやけど……、



せやけど、あとちょっとでアイツのところにたどりつけるいうところで、ちょうどやってきた空車のタクシーを捕まえて、アイツは夜の暗闇の中へと消えていってもうた。



「もォーっ!!」

ウチは右手に握っとったアイツのハンカチを、力任せに道路に叩きつけると、ソレをミュールでグリグリ、グリグリとツイストするような足取りで何度も踏みにじった。

こないなことしたくらいじゃ、煮えくり返ったウチのはらわたの温度は下がるもんちゃうかったけど……。



ハァ、ハァ、ハァ…

ひとしきり踏みにじったあと、気がつくとウチの息が上がっとった。ほんだけ興奮してたいうことやと思う。


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