みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
小っさい頃からずっと頭が良うて、まいど成績は学年トップやったアノ姉が、あないにうすっぺらいイケメンオトコなんかに、いともたやすうダマされてまうやさかい、ヒトを好きになるいうのんは、ある意味、ホンマ、怖いことやと思うわぁ。
頭のええ姉でさえ、あないなんやから、アホなウチなんかひとたまりもないはず。
せやけど……、
せやけどアホはアホなりに、ウチは恋愛に対しては慎重な姿勢をとってるつもり。
そう、あのときかて……、
卒業式の前の日に、各務くんから恋文をもらったときかて、うかつに彼の誘いには乗らへんやったし。
そのとき、ウチの脳裏に、恋文をもらう数日前の出来事がよみがえってきた――――
× × ×
恋文をもらう数日前の冬のある日のこと。
風邪をひいたらしく前の晩から熱っぽうて、その日は学校には行ってんけど、オツムがフラフラして2時間目の途中から保健室のベッドで、カーテンを閉めて、ずっと寝ていた当時小学6年のウチ。