みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~


そのときウチは全然別の場所におった――



      ×      ×      ×



バシャ…バシャ…バシャ…

競泳水着姿のウチはクロールで25メートルプールをただひたすらに何往復もしていた。


ココは徒歩圏内で通える近所のスイミングスクール。

ウチは毎週末ごと、1日1時間はココで泳いでいる。

スイミングスクールゆうても、別に泳ぎを教わっとるちゅうわけやない。空いてるコースを使こうてフリーで1時間泳がせてもろうとるだけや。


基本的にスポーツはするのも、観るのもキライなウチがなんで毎週末、自発的にプールで泳いでるかちゅうと、プールはウチにとってある種のリラックス空間やったさかい。

泳いでるときは常に一人。誰かに話しかけられることもあらへん。

余計なもんを全部捨て去って水着1枚のカッコになって、ほんで余計なことなんて考えんとオツムの中をからっぽにすることがでけるこの時間がウチは好きや。

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