みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
異性間の恋というものを理解しはじめたばかりの思春期の子供がする、無邪気で他愛もないイタズラやといえへんこともないけど、やられたほうはめちゃめちゃ傷つく思うわぁ。
ヘタをしたら一生消えへん心の傷かて負うかもしれへんし、もしも、そのままオトナになってもうたら、ちゃんと誰かを好きになることかて、できひんようになるかもしれへん。
仕掛けた本人たちからすれば、軽い気持ちでやったことで、さして気にとめるようなこともあらへんのかもしれへんけど、ちーとカッコいいからいうて女の子をからかってイタズラをする各務くんたちのことを、ウチはかなりひどいヒトやと、そのとき思った。
いや、ウチやのうても、そない思ったはず。
アノ当時はまだ小学6年やったけど、あれから少しオトナになった中学3年のウチがあらためて思うに、なんや、恋をゲームにして遊んではるみたいで、ホンマ、やな感じがする。
ほんで、このとき、偶然にもカーテン越しに“告白ごっこ”のことを聞いたせいで、ウチは卒業式の前日にもらった各務くんからの恋文を無視することになったんや。
つまりウチは各務くんからの恋文での告白を、告白ごっこやと思ってしもうたいうことや。
各務くんの日頃のウチに対する態度を見とったら、彼がイタズラで恋文をくれはったんちゃうことくらいはウチにも分かっとった。