みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
父が言おうとするのをさえぎって言うウチ。

「そーやって、お父はんがスグに文を甘やかすさかい、文が調子に乗って、つけあがったりするんやんか!」

「“スグ文を甘やかす”って、俺は、文も、お前も、有紀も、みんな平等に扱っとるつもりやで。文だけをひいきしたりはせぇへん」

「せやから、お父はんは黙ってて!」

いつのまにか問題がすりかわっとる。今はそないなことを話してるときちゃう。


「ええか? よう聞きや。たとえ小っさいハムスター1匹やいうても、命は命。せやから、ちゃんと責任はとってもらう。ミルクを見つけるまで文はメシ抜き。分かった?」


「お姉ちゃん…」

涙目でウチのほうをまっすぐに見る妹。

「分かったら、さっさと探しに行きや。早よう見つけてあげへんと、ミルクがおなかすかすどころか、逆に犬とか猫とかカラスとか他の生き物に食べられてまうかもしれへんよ」

「そ、そんなん、イヤや……ウチ、今スグ探しに行ってくるさかい……」


最後の脅しのひと言が効いたんか、妹はDKを飛び出していった―――――



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