みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
「各務……くん……」
別々の中学に通う彼とは、小学校を卒業して以来、一度も会ってへんやった。
いや会えるはずもない…。
ウチは彼の恋文を無視したんやさかい……。
ほんで彼のほうもウチに嫌われたと思ったんか、アレ以来、会うのはもちろん電話の1本かてかけてきはることはあらへんやったし。
それやのに、なんで今ごろになって電話なんかかけてきはったんやろ……?
「よかった、家におって。夏休みに入ったけん、もしかしたらどっかに遊びに行っちょるかと思ったとぉ」
「今はちょっと家を離れられへん事情があって……」
妹からの連絡待ちの状態や。
ケータイでも持っとれば、外出先でも電話を受けられるんやろうけど、父に高校生になるまではケータイ禁止と言われとる。
せやから今は電話の前から離れられへん。
「えっ……外に出られんとぉ……?」