みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~

せやから、そのときはたまたま伊勢谷くんといっしょにいてはっただけで、たぶん彼と付き合うてたワケちゃう思うわぁ。


まぁ、そもそも付き合っていようがいまいが、いずれにしても、彼女と絶交したウチにしてみれば、そないなことはどーだってええことやった。

どーせ金輪際もう二度と彼女とクチをきくこともあらへん、ってそのときは思うてたし。


せやけど……、


せやけど、もし一葉が死んでしもうたら、クチをききたぁてもきけんようになってまう。

ほんで最優秀賞を奪われ、友情を裏切られたことへの悔しさと、この胸のモヤモヤした思いも一生晴れることがない、ってことや。



ピロロロロロ…、ピロロロロロ…



油断してたところに突然、自宅の固定電話が鳴った。

今度こそ妹からの電話やと思い、あやうく受話器を落っことしそうになりそうなくらい慌てまくって電話に出るウチ。

「もしもしっ!?」

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