みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~


こないな気持ちのまま、これから毎日、妹と顔を合わさなアカンのかと思うと、いつまでも許してもらわれへん妹はもちろん、厳しく言うたウチかて憂鬱な気持ちになる。

一葉のことかてそうや。

今になってウチに謝ろうとしてはるみたいやけど、もっと早く謝ってくれはったら、ウチかて今ごろはオツムん中、こないにモヤモヤしてへんかったやろうし。


「美佳、よぅ覚えとくんや。相手を許してやること、それがその人間の器(うつわ)の大きさであり、相手を許してやる器量を持つことがオトナになるちゅうことやさかい」


そっか……相手をいつまでも許してあげられへん幼稚さが、ウチが人間としてまだ半人前の未完成であり、そしてコドモであることの所以(ゆえん)ってワケか……。

まだまだ手のかかる年頃の娘三人をほっぽり出して、一人で家を出て行ってもうた母のことかて、父はホンマはハラワタが煮えくり返るような思いのはず。

それやのに母を許して、その生き方を認めてあげとるあたり、さすが父はオトナってことなのかもしれへんと思う。


「相手を許してやらんと、自分かてずっとツライままでラクにはなれへん。相手を許すことで救われるんは自分自身でもあるちゅうことや」
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