みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
「もしもし?」
「うわっ、電話出るの、早っ…」
今度こそ、電話の向こうから聞こえてきたんは妹の文の声やった。
「今ちょうどお父はんと電話で話しとったさかいな」
「なんや、それでなかなか電話がつながらへんやったんか」
「ほんで、ミルクはどないなってん?」
「おったで♪ おった、おった♪」
電話の向こうから聞こえてくる妹の声は弾んどった。
「ソレ、ホンマ? お姉ちゃんに許してもらおう思うて、ウソついてはるんちゃう?」
けんどウチはにわかには信じられへんやった。そうかて、ミルクが見つかるはずあらへんって思うてたさかい。
「そないなウソついたかて、ウチが手ブラで家に帰ったらすぐバレるやん」
「まぁ、そりゃそーやけど」
「何時間探してもおらんさかい、疲れて、ちーと休憩しようと思うて、友達ンちのソファーに腰掛けてんけど、ほしたらソコになんや白い毛のカタマリみたいなんが見えて、よぅ見たら、ミルクがソファーのクッションのすき間に入ってうずくまっとったんや。危うくおしりでペシャンコにするところやったわ」