みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
「ひゃあ~、よかったやん♪ ウチ、ホンマは、もう見つかるはずなんてない思うてた♪ ミルク、おなかすかしてやつれてへん?」
「よっぽどおなかがすいてたんか、今ヒマワリの種をモーレツな勢いで食べ続けとる」
「そうね♪ そりゃあ、よかった♪」
まさか見つかるとは思ってへんかったぶん、嬉しさもひとしおやった。
「ねぇ、おねーちゃん?」
電話の向こうから妹が聞いてくる。
「ン?」
「ウチ、責任もってミルク見つけたさかい、これからも毎日ごはん作ってくれはる?」
どうやら妹は今朝ウチが言うた“ミルクを見つけてこないとごはんを作ってあげない”というのを、マジで受け止めとったようや。
「あためーやん♪」
父に言われたせいでもあるけんど、たとえミルクを見つけられへんでも、ウチは妹を許してあげるつもりやった。
それがちゃんと見つけることができたんやし、妹を許さへん理由はどこにもあらへん。
「文ちゃんのこと、許してくれはる?」
「許したる、許す、許す♪」