みかん白書~描きかけの私の描きかけの恋~
「はい」

「そうか、どこかで見た顔だと思っていたんだ。今日は娘のためにわざわざ来てくれてありがとう。二人で話すこともあるだろうから、私はしばらく席を外すことにするよ」

そない言うて、ウチらの前からいなくなってしまう兄妹の父親。


「オレからも礼を言うけん。ありがとな」

「カンニンや……スグに来れへんくて……」

久しぶりの各務くんとの会話やった。


「いいっちゃ。それよりなんか用事で立て込んでたんやろ? ソッチのほうはもういいとや?」

「うん。ソッチは綺麗に片付いたさかい」

「そっか……」

「うん……」

「………」

「………」


それっきり黙り込んでまうウチと各務くん。


やっぱり何年かぶりで再会して、いきなりあの頃みたくおしゃべりするんは無理があったんかもしれへん。

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