かみさまの椅子

青空が触れるとサラリと滑り落ちる


「あるもん使ってるだけだ」

「ふーん、けど勿体ないな~」

「何が?」

「リオンの髪色だって綺麗だったのに」

「…………」


残念そうに髪を見つめる青空とは逆の方向に顔を向けるリオンの表情は読み取れなかった。


「あー腹減った」

ぼそっと呟いて顔を正面に向いた頃にはいつもの表情をしていた。


「今日の晩飯何だろな」

「知らないけど確かガルドが魚貝類にするって言ってた」


「………俺貝類駄目なんだよな」

「残念だったね」


お互い買い物で疲れたのかぐったりとベンチに座ったまま動く気にならずそのまま時間だけがゆるゆると流れていく。


そんなまったりした空気を一瞬でぶち壊す怒鳴り声が耳をつんざいた。


「見つけたぜ!!シュヴァルツバルトのリオン!!!」


その大声に驚き思わず持って中を見ていた紙袋を落とす青空だった。



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