かみさまの椅子


また走るの!?


そう心の中だけで叫んで青空は全力で走る、背後に迫り来る敵を気にしている余裕は無く愚痴を零す余裕も無い

「キリないな」


チラリと背後を見やりリオンはパッと青空の手を離す。

「一旦解散、俺が囮になってアイツ等蒔くからお前は見つからないように航空機んとこ行け」


「えぇ!そんな事出来ないよ!」

「いいから行け!!」


乱暴に背中を足で押され脇道に倒れ込む。


「いったぁ」



バタバタと背後で大勢が表通りを通り過ぎていき青空には全く見向きもせずにひたすらリオンを追いかけていた。


「大丈夫かな」


薄暗い脇道から表通りを見つめる事数分、リオンを追い掛ける騒がしさも遠くに行き青空も移動しようと息を潜めそろりと顔を出す。

「うわっ、ひどいなぁ」


まるで嵐が通り過ぎていったかのような荒れようだった。

並ぶ露店の箱はひっくり返って中身があちこちでばらまかれそれを店の人達がどんよりとした空気の中拾っていた。

追われていた者として申し訳なくなり近くに転がる赤い実を拾っていった。


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