かみさまの椅子
その後はあっと言う間だった。
妙な浮遊感が消えたと気がつき、閉じていた目をそっと開く。
視界に入って来たのは目を見開いて驚いて口をぽかんと開けて居る柄の悪いお兄さん方だった。
「し……………侵入者だぁぁぁぁーー!!」
一人が叫べば連鎖して回りも騒ぎ出すカンカンカンと警鐘がなり見る見るうちに人が集まり少女を取り囲む。
ある程度人が集ればしばしの沈黙が辺りを包む。
取り囲まれた少女は度重なる出来事に精神的に一杯一杯だったが、何とか気持ちを自ら奮い立たせる。
今自分が居る場所は空を飛んでいる飛行機の上で、上を見上げれば嫌味な程に晴れた青空、それとは逆に回りには敵意向きだしの柄の悪いお兄さん方。
さてどうしようか
襲われて全員を相手に出来るかどうか自信が無い、小さい頃から武術をお祖父ちゃんに叩き込まれ自分の身一つぐらい守れる自信はあるが、こんなに大勢を相手にした事はない、しかし泣いて許しを請う気も無い、お祖父ちゃんが良く少女に言っていた言葉を思い出す。
『最後まで諦めるな、常に頭を動かせ、そうすればやるべき事が見つかる』
少女は覚悟を決めて拳を握り、何時でも掛かって来いと相手を睨み返す。