かみさまの椅子
「退け」
少女が覚悟を決めた時、静けさを裂く様に落ち着いた低い声がした。
囲んでいた人達が脇にそれ少女の向かいに道が出来た、その道を堂々と通り現れたのが白銀の髪を揺らし今まで此所で見て来たお兄さん方のいかつい顔とは違い、品の良い整った顔立ちをし、体格がしっかりした男性だった。
男性の登場にその場の空気は一層張り詰め少女はごくりと生唾を飲む。
「くそぅ、あのおじいちゃん何がグッドラックだよ、全然グッドじゃないよこの状態」
ボソリと元凶を作り出したまた何時会えるか解らないハゲかかった年寄りに悪態をつく。
少女の言葉も気にせず男性は口を開く。
「小娘どうやって俺の船に入り込んだ」
さて、長かった回想もこれで終り冒頭に戻るが、少女はこの時一瞬気が緩んだ、男性の顔立ちが余りに整っていて見惚れたからとは少女は恐らく認めないだろう。