かみさまの椅子



日が暮れ朱く染まる石舞台に上がり対峙するリオンとバッファ一味、捕まっているアルタは 悔しそうに顔を歪ませていた。

「キャプテン」


泣きそうな声でリオンを呼ぶアルタ。


「安心しろすぐ助けてやる」

「捕まってすみません」


二人のやりとりに鼻で笑うバッファは更にアルタの首筋に剣を押し付ける

「安心しろ、お前の首が落ちたらお前の大好きなキャプテンも後を追うからよ」

「はっ?寝言は寝て言え」

「強がってんのも今のうちだぜ、はっこんなひ弱、仲間に入れなければこんな事にはならなかっただろうにお前も馬鹿だな!!」



バッファの言葉がアルタのコンプレックスを刺激する、見た目明らかに女の子なアルタは自身の容姿が気に食わなかった。

男だと言っても信じてもらえず女に間違えられてナンパされ襲われかけた事もある、男だと理解すれば女みたいだと気持ち悪いだとかひ弱だとか馬鹿にされ


沢山の侮辱を受けてきた。


女には負けない自分は男だから、いくら見た目が女だとしても負けるはずが無い。

そう信じていたのに 突然現れた青空に呆気なく伸され今までにないぐらい落ち込んだ。


女にまで負けたら自分の居場所は何処にあるんだ?


ただの荷物になるだけだ。


ふと頭に浮かんできたらもうだめだ、どんどんマイナスの考えが浮かんできて止まらない。

そこにバッファのひ弱の言葉


もうこの空賊団には居られない


そう思った。



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