かみさまの椅子
第2章


男は少女の言葉と表情に嘘は言って居ない事は分るが、言っている事は理解出来ない。


「キャプテン」


突然現われた素性の解らない少女をどうするか、何処かの街に捨てるかご親切に教会に身柄を渡すか、もういっその事奴隷市にでも出して経費の足しにするか頭を悩ませて居た時、丁度小声で男を呼ぶ声がし目線をそのままに耳を傾ける。

「何だ?」


「あの女妙な服を着てるし突然現われた、まさかと思うが神の使いって事は無いか?」

「ありえない、見た目は確かに奇怪だ、だが見た限り状況を理解していない」

風に揺れる珍しい長い黒髪に光りの加減で微かに緑に変わる瞳。


着て居る服も見た事が無い。

「……最悪だ」


心からの言葉だった。

自分はのんびりと束の間の休憩を堪能していたのに、突然降って来た厄介事に盛大に溜め息を吐き出して、太陽の光り煌めく白銀の髪に指を突っ込んでがしがしと乱暴に頭を掻く。

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