かみさまの椅子
「あんた馬鹿じゃないの」
「なっ」
「その偏った価値観捨てな、男が強くて女が弱いなんて考えは古いんだよ」
腕を組んで仁王立ちする青空
「いくら腕を上げたって、そんな気持ちじゃ弱いまま、年くってようが若かろうが男だろうが女だろうが強い奴は強い、弱い奴は弱い」
鋭い視線に射抜かれアルタは黙ったまま下を向く
「要は気持ちなんだよ」
トンっと拳を作りアルタの胸を軽く叩く
「なにか言われても動じない心を持つこと、腕を上げるのはそれから」
そう言い鋭い目を緩め一気に破顔する。
「まぁアルタは見込みあると思うよ昔の私にそっくりだから」
はっはっはーと笑いながら青空はアルタの背を叩きみんなが待つワゴンに乗り込む、アルタは俯いたまま動こうとしない
「アルタ置いてくぞ」
入り口に寄っかかり無表情のリオンに言われパッと顔を上げ急いでワゴンに走り寄る
「要らなく無い?」
「寝言は寝て言え」
その言葉を聞いた瞬間強張った顔の緊張が解け少し涙目になりながら小さく「ごめんなさい」と言いながら乗り込んだ。
「良いとこ全部リオンに持ってかれた気がする」
「うるせぇよ」
ゆっくりと回収されるワゴン内で青空はむくれながら外を見る
未だ街は眩く光り輝いている。
あの突然聞こえた声は何だったんだろか
どこか懐かしさが漂う穏やかな声に
「疲れた」
うとうとと瞼が落ち眠気がじわりじわりと青空を誘う
いってらっしゃい
我等が主