かみさまの椅子



「関西弁?」


「あぁ関西弁じゃなくてその方言」

青空に指摘され口元を真っ黒い耐熱耐電の手袋で覆われた手で抑える。

「俺又発音おかしかったか?」

「別に可笑しくないよ」


青空にとって本場の関西弁を聞いている気がして少し興奮しているぐらいだがハイドにしては全く違っていた。

「最悪だ」

「何で?」


清々しいほど純粋に聞いてきた青空に思わず釣られてポロリと口から滑り落ちた。

「大嫌いな故郷思い出すんだよ」


「……………」


「……あーだから言いたくなかったんだよ」


妙な間が開きそれが嫌で仕方ないハイドはがしがし頭を乱暴にかきむしる



「可笑しいだろ発音も語尾も、普段は標準語で話すようにしてんだけどイライラしたりキレたりすると駄目なんだよ直ぐに素が出る」


はぁと溜め息を吐き出して青空とは目を合わせようとせずに逆の方向を向いている。


「嫌でも思い出すんだよ故郷の事、しかも未だに方言が抜けきれない、あそことはいえ縁を切ったのにこれじゃ未だにアイツ等と同じだ」


ギリギリ歯を食いしばって話すハイド。



「別に可笑しくない」


どんぶりをハイドの目の前に置き真っ直ぐ見つめて青空は話し出す。

「ハイドは故郷を捨てきれない自分が腹立たしいの?」

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