かみさまの椅子


「ガルドのミルワの実だ」

「ああ」


仲間内で声を潜めて話す皆の視線はおにぎりの中に入っている具に向いていた。


そこには濃い赤紫色に染まっている実が中に入っていた。

ミルワの実と言う貴重な作物でガルドが数年前に入手し、それからガルドオリジナルの調味料や酒に漬けて眠らせていた物だ。

仲間内で一回盗み食いを働きバレた時は気を失うぐらいボコボコにされたのは有名な話しだ、それからシュヴァルツバルト内ではガルドのテリトリーであるキッチン材料庫には手を出さないのが暗黙の了解になっていた。

しかし、それを最近仲間になった青空が知っている筈もなく 、良い物があるとこのおにぎりの具にしたんだろう。

ニコニコ食べている青空を見て、おにぎりを笑顔で握っている図が容易く想像できるしそんな青空にガルドの大事な我が子みたいな漬け物なんだと言えるはずもなく

おにぎりを食べた仲間達はガルドにボコボコにされる覚悟を決め完食した。




おにぎりの味はしょっぱかった




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